暴行事件を起こし、勾留されたものの、被害者と示談して勾留3日目で釈放され不起訴となった事例

2025/04/29 刑事事件

暴行事件を起こし、勾留されたものの、被害者と示談して勾留3日目で釈放され不起訴となった事例

① 事例

② 事案の概要

ご依頼者は、飲食店で飲酒した後、駅からタクシーに乗車をしました。ご依頼者様は泥酔してしまっており、タクシーで寝てしまい、自宅に送り届けてもらったもののタクシー運転手の声かけにも起きることがなく、タクシーの運転手はやむなく駅に戻り、警察を呼んで状況を説明しようとしました。そうしたところ、駅に戻った際に目を覚ましたご依頼者様は、駅でタクシーに乗ったはずであるはずなのに料金を取られようとしていると感じ、タクシー運転手と口論になるとともに、胸倉を押すなどの暴行を加えてしまいました。警察官もすでに来ており、警察官も目の前で行われたことであったため、その場で現行犯逮捕され、その後、勾留が決定されました。

③ 弁護士の対応

暴行事件であったため、勾留決定が行われたことに対して、疑問に思いました。

なぜならば、通常であればそこまで勾留がなされることも多くはない類型ではあるからであり、何か特殊な理由があるのではないかと思いました。

そこで、直ちにご依頼者様と接見し、事件の詳細と状況を確認しました。しかし、ご依頼者様は酔っぱらっていて全く事情がわからず、取調べを対応していた警察官からタクシーの運転手に迷惑をかけたらしいということを聞いて、示談を行いたいと反省を示していました。

勾留当日にご依頼を受けたため、そのまま裁判所に勾留決定に対する準抗告申立てを行いましたが、実はご依頼者様は、酒酔いでの喧嘩事案で別件での在宅捜査中であったこと、警察の呼び出しに応じなかったことがあるなどという理由から勾留決定に対する準抗告申立ては棄却され、勾留が継続することになりました。

ご依頼者様からの聴き取りで上記事情を把握していたため、万が一勾留が継続してしまうとしても、並行して被害者と示談が成立するならば、暴行事件という性質上、速やかなる釈放がありうると考えていました。

そこで、弁護士としては、検察官を通じて示談交渉を行うべく被害者との示談交渉を行うようにも動いていました。

被害者であるタクシーの運転手にも早々にご連絡が取れ、ご依頼者様が深く反省していること、二度とこのようなことを起こさないと誓っていることを丁寧に説明し、慰謝料等をお支払いして、示談をすることができました。被害者の方のご都合によって、即日にお会いすることができませんでしたが、勾留決定から3日目に被害者の方とお会いして宥恕（許し）を得て示談を成立させることができました。

弁護士は直ちに示談書を作成し、検察官に提出しましたが、休日であったことから担当検察官に対して早期の身柄解放と不起訴処分を求める意見書を提出するのみならず、裁判所に対して勾留決定に対する準抗告申立てを再度行いました。

その結果、裁判所から連絡があり、準抗告を認容する見込みとのことでした。後ほど実際に準抗告は認められて、ご依頼者様は釈放されるに至りました。

また、その翌日、検察官が不起訴処分を出したため、ご依頼者様は処罰を受けることはありませんでした。