刑事事件

2025/05/05 刑事事件

職場の商品をインターネットで販売、窃盗・業務上横領で店舗と示談して不起訴となった事例

① 事例

職場の商品をインターネットで販売、窃盗・業務上横領で店舗と示談して不起訴となった事例

② 事案の概要

ご依頼者様は、自身が勤務する小売店において、数ヶ月にわたり、在庫の商品を複数回にわたって無断で持ち出していました。

そして、持ち出した商品をフリマアプリ等を利用してインターネット上で販売し、得た代金を自身の遊興費などに充てていました。

ご依頼者様の商品持ち出しの経緯について、一部は窃盗とは言いがたい事情がありましたが、それでも業務上横領になりうるため、いずれにせよ犯罪行為になってしまうという話ではありました。

発覚の経緯については、会社がM&Aで合併することになり、内部監査がなされたところ、店舗の在庫管理システムと実際の在庫数に大きな差異が生じていることが発覚し、その結果、ご依頼者様の犯行が明らかになったというものでした。

会社の責任者から事実確認を求められた依頼者は、自身の行為を認め、謝罪しました。

店舗側は、被害額が高額に上る可能性もあることから、警察への被害届の提出を検討している状況でした。

ご依頼者様は、店舗側が警察に相談する前に自首しており、警察がすでに事件として認知してしまっている状況にあったため、示談ができないと場合によっては公判請求(正式裁判)されてしまうという状況にありました。
ご依頼者様は、自身の行ったことの重大さに気づき、今後の人生への影響を深く恐れ、当事務所に相談に来られました。

③ 弁護士の対応

・迅速な事情聴取と方針決定: 依頼者から詳細な事実関係(持ち出した商品の種類・数、期間、販売方法、被害総額の見込み等)を丁寧に聴取しました。

弁護士は、本件が業務上横領罪(または管理状況によっては窃盗罪)に該当する可能性が高いこと、刑事事件化を回避するためには店舗側との早期の示談成立が不可欠であることを説明し、直ちに示談交渉に着手する方針を決定しました。

・店舗側との示談交渉: 弁護士は速やかに店舗の責任に連絡を取り、依頼者が深く反省し、謝罪していることを真摯に伝えました。

その上で、被害相当額の一定額の弁償を行う意向があることを明確に示し、示談交渉を開始しました。

当方にて把握している売却物品数を売価に引き直して計算すると100万円程度でした。

フリマアプリで売却した以外に自己利用したこともあるとのことだったので、確実な金額ではありませんでしたが、一方、店舗側は600万円というかなり高額な金額を主張してきました。

しかし、店舗側の主張する金額には根拠があるようではなかったため、一旦根拠となるべき資料を出してもらいたいこと、また、明らかに売価で売却できた以上の金額であったため、金額として適正弁償額となるように粘り強く交渉を重ねました。

・被害弁償と示談成立: 交渉の結果、店舗側は資料の提出をしませんでしたが、当方の粘り強い交渉を4ヶ月ほど続けた結果、被害弁償金として200万円を一括で弁償することで合意に至りました。

弁護士は示談書を作成し、被害弁償金の支払いと引き換えに、店舗側から「依頼者を宥恕し、刑事処罰を求めない」旨の条項(宥恕条項)を含む示談書の作成を行うこともできました。

・検察官への報告と不起訴処分の獲得: 弁護士は、宥恕条項付きの示談書や依頼者の反省文をまとめた意見書を検察官に提出しました。

被害弁償が完了し、被害者である店舗が処罰を望んでいないことを強く主張し、不起訴処分が相当であることを訴えました。

その結果、検察官は本件を不起訴処分としました。

④ 弁護士のコメント

業務上横領職場での窃盗は、被害額の大小に関わらず、雇用主との信頼関係を著しく損なう行為であり、発覚すれば懲戒解雇に加え、刑事事件として立件される可能性が高い犯罪です。

本件に限らず、特に近年、従業員による内部不正(商品の横流し、レジ金の窃盗など)は後を絶ちません。

本件のように、事件が発覚していても、弁護士が早期に介入し、被害者である店舗側と真摯に向き合い、適切な交渉を行うことで、示談を成立させられる可能性は十分にあります。

特に重要なのは、被害額全額の弁償と、被害者から「宥恕(許し)」を得ることです。

被害弁償はもちろんですが、宥恕条項付きの示談が成立すれば、検察官が不起訴処分とする可能性は格段に高まります。

依頼者本人や家族だけで交渉しようとすると、感情的な対立が深まったり、適切な条件での示談が困難になったりするケースも少なくありません。

弁護士が代理人として間に入ることで、冷静かつ法的に適切な形で交渉を進め、円満な解決と不起訴処分の獲得を目指すことができます。

もし同様の問題でお悩みの場合、事態が悪化する前に、できる限り早く弁護士にご相談いただくことを強くお勧めします。

池長・田部法律事務所では、上尾警察署の管轄の窃盗横領事件のみならず、埼玉県内の警察(例えば、大宮警察署浦和警察署川口警察署など)の刑事事件にも対応しています。

特に逮捕・勾留されている事案については即日対応を心がけています。

さらに埼玉県内のみならず埼玉県外であっても、ご依頼をいただくこともあり、速やかに対応をしています。

刑事事件は刑事事件に精通している弁護士に相談・依頼すべきです。

刑事事件でお困りの方はぜひ当事務所へご相談ください。

 

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