2022/08/31 相続問題
相続に関連し、相手方から打診された不動産の買取価格を交渉により1800万円ほど増額した事例
①事例
相続に関連し、相手方から打診された不動産の買取価格を交渉により2500万円ほど増額した事例
②事案の概要
ご依頼者様は、夫が亡くなって遺言により、夫の財産を全て取得しました。
そこに、住んでいた不動産があったのですが、もともと夫の家族のものだと思っていたことから、もしも夫が亡くなったら夫の兄弟に譲り、その代わりに老後の生活を保障してもらえるようにある程度の金銭をもらいたいと考えていました。
また、兄弟も同様に買い取る方向で構わないと考えていたとのことでした。
夫が亡くなって落ち着いた頃、そろそろ買い取ってもらいたいと兄弟に述べたところ、兄弟が弁護士をつけて、今まで貸していた建物であるから賃料相当損害額を支払うか、賃料相当損害額分を差し引いて買い取ると言い始めました。
というのも買い取ってもらおうとしていた土地と建物は夫の母の名義となっており、直接的には夫の名義になっていなかったのです。
こうして、非常に困惑されたご依頼者様からのご相談を受けることになりました。
③弁護士の対応
夫がなぜその土地・建物の名義を変えなかったかは今となっては分かりませんが、少なくとも、もとも夫と住んでいた住居であり、固定資産税もこちらが支払っていました。
そのため、賃貸借契約を主張されることはおかしいと直感的に考えました。
仮に貸しているとしても兄弟間でタダで使って良いという約束や暗黙の了解があるはずでした。
そうでなければ兄弟は賃料を請求していたはずです。
また賃料の支払いについても約30年分を請求しており、明らかに過剰請求でした。
仮に本当に賃料が発生しているとしても時効です。
突如金銭請求をしてくるというのは明らかに不当であり、これまでの信頼関係を壊すような行為でした。
そのため、当該不動産については時効取得していること、仮に時効が成立していなくとも少なくとも使用貸借契約が兄弟間で成立していることを述べました。
そうしたところ、相手方の弁護士は主張を撤回し、できる限り減額してもらいたいと方向性を変えました。
つまり、この請求はパフォーマンスだったのです。
こういった方法を用いることは極めて不当であるなどと述べたところ、担当の弁護士が別の事務所の弁護士に変わりました。
そこで、新たな担当弁護士に対して、これまでは不当な請求をされていたことなどを伝え、改めて適正な買取価格で買取をしてもらいたいと述べるなどして交渉を行いました。
当初の相手方の提示額は約500万円ほどでしたが、最終的な合意額は約3000万円ほどになり、約2500万円もの差が出ることになりました。
④弁護士のコメント
弁護士としては少し特殊なご依頼でしたが、法律的な主張について不当なものがあるならばそれらは排除されるべきです。
弁護士は法律の専門家、プロであり、交渉から調停、訴訟まで全てを担当することができます。
本件も場合によっては調停を行う方向性もあったかと思います。
しかし、親族間の問題であり、ご依頼者様がそこまでの対応を望まなかったため、交渉手続にて対応を行いました。
弁護士は、ご依頼者様のご希望を踏まえ、ともに不当な請求と戦います。