2025/05/02 交通事故
後遺症の認定を受けずに悩んでいたところ、被害者請求と訴訟によって大幅に結果が変わった事例
① 事例
後遺症の認定を受けずに悩んでいたところ、被害者請求と訴訟によって大幅に結果が変わった事例
② 事案の概要
本件は、高齢の親が交通事故に遭ってしまい、病院に通院していたところ、保険会社から途中で一括対応の打ち切りにあってしまいました。
そこで、ご依頼者様の通院治療費については健康保険を利用して2年ほど通院していた状況でした。
そのような状況の中、親に代わって相手方との対応窓口をしていたお子様が保険会社や相手方についた弁護士の対応にずっと悩まされ続けて当事務所にご相談に来られました。
お話しを伺ってみると、歩行者(ご依頼者様)対自動車(相手方)の事故であり、ご依頼者様のお怪我も骨折など大きなお怪我もしており、特に神経痛に悩まされていたものでした。
ご家族としては、ずっと通院している親のことを心配しつつも、費用面でかなり高額になってきてしまったこと、事故からかなり時間も経ってしまって、このまま相手方の提案を受け入れるべきかという点について非常に悩んでいました。
最後に弁護士に話を聞いて、専門家に無理と言われたら諦めようと思っていたようです。
しかし、お話を聞く限りにおいて、治療期間もそれなりにかかっていること、提案自体もいわゆる弁護士基準からは低いように思われること、さらに伺った事案の怪我そのものや治療状況の経過、医師から聞いている治療内容などからすると症状固定とは言い難いのではないかと思われる話が見て取れました。
少なくとも医師ではないということを前提にご家族には経験上感じた違和感をお話しした上で、相手方の対応にもお悩みなら弁護士を入れるだけで楽になるかもしれないとのお話をしました。
ご依頼者様ご本人は高齢で移動が難しいとのことでしたので、WEBでご家族と一緒にいる際に繋いでいただき、お話をしました。
その上でご依頼者様からご依頼をいただき、請求が難しそうであれば後遺症や症状固定の点は最終的には断念し、そのまま提案の示談金を受け取るものの、診断書や医療記録を精査して、一通りできそうなことはやってみてその上で判断するという話になり、ご依頼をいただきました。
③ 弁護士の対応
相手方に弁護士代理人がついていたことから、当方にて弁護士の対応から始めました。
また、並行してご依頼者様の医療記録を取り付けてすぐに相手方に慰謝料等の請求を行いましたが、全く相手方は取り合わず、また後遺症についても何ら取り合うことはありませんでした。
そのため、訴訟を検討すべきということでご依頼者様にお話をして、訴訟を行う前に一度自賠責へ被害者請求を行うこととしました。
自賠責への後遺症認定のための請求に対する回答は時間がかかることもあり、本件でもある程度待ちの状況が続きました。
待ちの中、相手方代理人は後遺症や休業損害がないとの前提の下で、当方に債務不存在確認請求を行ってきました。
そのため、まずはこの債務不存在請求に対する対応を行うとともに、後遺症が発生したとの前提の反訴提起のための準備を行うこととしましたが、まずはあくまでも後遺障害がないという前提で損害賠償請求訴訟を提起しました。
裁判では、相手方がご依頼者様が高齢であることから主婦の休業損害は発生し得ないとの反論を行ったため、当方はご依頼者様こそが世帯における唯一主婦業ができる人物であり、この事故によって相当期間の間主婦業ができなくなったと主張をし、立証を行いました。
その中で、ご家族からのヒアリングを行ったり、医療機関に医療照会を行うなど、医師の医学的所見なども踏まえて主張を行いました。
この争点を争っている最中、自賠責がご依頼者様について後遺障害があるとの認定を行いました。
そのため、上記訴訟で、後遺障害慰謝料と逸失利益、また、通院慰謝料についての症状固定の時期がさらに後ろにずれること、や治療費も後ろ倒れとなった時期であることなどを主張して追加で請求することになりました。
しかし、相手方弁護士は自賠責が認定したにもかかわらず、後遺障害についても本件事故との因果関係はないなどと争い、逸失利益についても高齢者は働くことができないため発生しないなどと極めて多くの争点がありましたが、最終的に裁判所は心証開示を行い、当方の主張をほぼ認め、交通事故による後遺症の発生を認めることを前提に和解案を提示しました。
当方が主張する休業損害よりは金額は下がったものの後遺障害が認められた前提での治療費や慰謝料、逸失利益などを認めること、最終的にすでに保険会社が事前に支払っていた治療費や本裁判の前に自賠責から回収した金額に加えて265万円を相手方から支払うとの内容の和解に至りました。
④ 弁護士のコメント
本件は、お子様が最後に弁護士に相談しようと思い立ち、ご相談をしてくれたことによって、親であるご依頼者様の主張通りに後遺症が認定されるなど、保険会社が提示していた内容から大きく変わりました。
まず、交通事故では、主婦の方は主婦の休業損害=主婦休損を請求することができます(兼業主婦の方も一応は請求可能なことが多いです。)。
しかし、弁護士が入る前の保険会社は交渉段階でこれをほぼ認めないことが多い印象です。
また、経験上、保険会社は、高齢の被害者の方の事故についてはかなり色々と支払額を削って提案をしてくるような印象があります。
そのため、保険会社の提案に対しては安易に信じずに弁護士に相談していただいた方がいいと考えています。
特に本件では、治療費・通院慰謝料・休業損害・症状固定時期の争いや逸失利益など本当に多くの争点に争いがありました。
お子様のお話を聞いた際に、この事故の態様や状況、治療期間の長さから後遺症の認定を受けられてもいいのになぜ受けていないのか、などといった様々な違和感があり、さらに保険会社提案もいわゆる弁護士基準からは低かったため、増額可能性もあること、その他のご不満を解消できる可能性があることのキャッチアップをすることができました。
交通事故は事実関係の争いがほぼない事故もあれば、その事故から派生する問題で大きく見解が相違する事故もあります。
本件のように非常に多岐にわたる争点が発生することもあり、今回はご依頼者様の主張が全面的に認められたので、本当に良かったと思います。
当事務所では、ただ単に説明に終始するのではなく、ご依頼者様のために解決方法を提案したり、相手方からの対応について丁寧に説明をさせていただきます。
当事務所では埼玉県内の交通事故のみならず、県外の交通事故のお取り扱い実績も非常に多数あります。
交通事故に遭われた方や通院中でこれからの示談にお悩みの方、通院が終わって保険会社から提案を受けたものの納得がいかない方はぜひ一度池長・田部法律事務所までご相談ください。