2025/04/27 交通事故
物損事故で相手から過失割合を相手方1:当方9を主張されたが裁判で相手方9:当方1と逆転した事案
①事例
物損事故で相手から過失割合を相手方1:当方9を主張されたが裁判で相手方9:当方1と逆転した事案
②事案の概要
依頼者(当方)がバイクで3車線道路の第2車線(中央車線)を法定速度で走行中、道路右側の路外から出てきて道路に進入しようとし、さらに道路左側にある店舗の駐車場に入ろうとした、という路外から路外に道路を横切ろうとしたという相手方四輪車と衝突した少し特殊な交通事故でした。
相手方には司法書士の代理人がついており、依頼者のバイクにも前方不注意や速度超過があったと主張し、客観的な映像証拠がないことを理由に、過失割合を相手方1:当方9とする強硬な姿勢を崩さず、具体的な理由もよくわからないまま訴訟を提起されたという状況でご相談に来られました。
依頼者は、自分が速度をもう少し落とせば転びはしなかったものの、進入のタイミングが明らかにおかしかったこと、相手が安全確認を怠り急に進入してきたと確信しており、提示された過失割合に全く納得できませんでした。
③弁護士の対応
依頼を受けた弁護士は、映像証拠がない中で、他の証拠を徹底的に収集・分析しました。
・詳細な聞き取りと現場確認: 依頼者から事故状況(走行速度、相手車両発見時の状況、回避行動、衝突位置等)を詳細に聞き取り、事故現場を訪れて道路状況、見通し、相手車両が出てきた場所の構造等を確認しました。
・警察書類の精査: 実況見分調書や供述調書を詳細に分析し、依頼者と相手方の説明の矛盾点、特に相手方の安全確認に関する供述の曖昧さや不合理な点を洗い出そうとしましたが、本件では物損事故のみであったためそのような書類がなく、警察が作成した物件事故報告書という非常に簡単な書面しかないという状況でした。
・物理的証拠の分析: 双方の車両の損傷写真(損傷箇所、程度、形態)を分析し、衝突時の角度や相対速度を推認しました。例えば、バイク前部の損傷と四輪車側面の損傷状況から、四輪車がバイクの直前に進入したことを裏付ける所見を探しました。
・目撃者証言の確保: 事故直後に現場にいた可能性のある目撃者がいないか再度確認し、もし存在すれば詳細な証言を得る努力をしましたが、確認することはできませんでした。
・訴訟提起(反訴提起): すでに相手方から訴訟提起がされていたため、こちらも反訴(訴訟)を提起しました。
裁判では、依頼者の主張に基づいて、相手方の進入時の判断根拠などを厳しく追及し、その供述の矛盾や不自然さを明らかにしようとしました。また、道路交通法上の路外施設からの進入車両の重い注意義務(安全確認義務、直進車妨害禁止)を改めて強調し、客観的状況証拠(車両の損傷、現場状況)からみて、相手方の過失が圧倒的に大きいことを主張しました。
そうしたところ、裁判所の心証開示があり、相手方が主張する過失割合は取り得ないこと、もっとも当方にも、路外からの自動車を目視できる状況にあったことから、少なくとも、過失は1割程度認められるということを述べられました。
その後、裁判所から和解勧試(和解の提案)がなされて裁判所の和解案が提示されました。
この点、相手方は非常に不満があったようで、和解期日も複数回行われましたが、裁判官から明確に判決でも変わらないと言われたこと、別冊判例タイムズ38号を参照してもやはり相手方の主張は認められないと思われることなどから、しぶしぶ認めて和解を受け入れるとのことでした。
ご依頼者様は本当は10:0の気持ちではあるが、相手方が言っていることとは正反対になったことから、充分と述べて和解を受諾し、和解成立となりました。
④弁護士のコメント
ドライブレコーダー等の映像証拠(客観的証拠)がない場合、事故態様の立証は非常に困難になります。
しかし、すぐに諦める必要はありません。
実況見分調書、車両の損傷状況、当事者や目撃者の証言といった他の証拠を丹念に収集・分析し、それらを矛盾なく組み合わせることで、事故の真実を明らかにすることは可能です。
特に、路外施設から道路へ進入する車両には法的に重い注意義務が課せられているため、物理的な証拠(車両の損傷箇所など)や相手方の供述の不合理性を突くことで、直進車両側の過失が低いことを裁判所に認めてもらえるケースは少なくありません。
本件のようにわずかな証拠であっても証拠を多角的に検討し、粘り強く主張・立証していくことが重要です。
安易に相手方の主張を受け入れず、まずは弁護士にご相談ください。
当事務所では物損事故のみの事案であっても、ご依頼をいただいております。
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