2025/05/05 交通事故
追突された物損事故、相手方が社用車での事故だったため勤務会社に請求し全額支払いを受けられた事例
① 事例
追突された物損事故、相手方が社用車での事故だったため勤務会社に請求し全額支払いを受けられた事例
② 事案の概要
ご依頼者様が赤信号で停止していたところ、後方から進行してきた相手方運転の社用車に追突された物損事故でした。
事故当日、ご依頼者様は赤信号で停止していて、十数秒後、突然「ドン」という強い衝撃と共に、後方から相手方の自動車に追突されました。
幸い低速度でぶつかったことからご依頼者様に怪我はなかったものの、自動車の後部がへこみ、修理が必要となりました。
追突してきた相手方はすぐに車から降りてきて、「すみません!着信に気を取られて、前を見ていませんでした」と平謝りでした。
ご依頼者様はすぐに警察に連絡し、駆け付けた警察官によって現場の状況確認が行われ、物損事故として処理されました。
現場でのやり取りの際、ご依頼者様は名刺を差し出し、自身が当該会社の従業員であり、この車は社用車で営業活動中であったことを説明しました。
事故後、相手方に連絡をしたところ、会社の車だったので、会社に相談してから回答すると述べられたものの、その後連絡がなく、このままでは修理費含めて何も支払われない可能性があるとのことで当事務所にご相談されました。
会社は任意保険の加入をしておらず、相手方保険会社がなく、ご自身の保険会社もこちらに過失のない事故である以上、保険会社の方で交渉ができないため、ご依頼者様もどのようにしていいのかわからない状況でした。
ご依頼者様は、自分の保険会社から弁護士費用特約が付帯しているため、弁護士費用特約だけ使う場合には保険料が上がることはないし、弁護士に相談してみたらどうか、と言われたため、弁護士に相談してみようと考えたとのことでした。
③ 弁護士の対応
・受任と事実関係・法的根拠の確認
当事務所の弁護士は、ご依頼者様から事故状況、車両の損傷状態、保険会社との交渉経緯などを詳細に聞き取りました。
ご依頼者様の主な要望は、きちんと修理費用を払ってもらいたい、また、修理している間代車を借りる必要があるが、代車費用を払ってもらいたいということでした。
弁護士は、本件が典型的な追突事故であり、相手方の過失が100%であること、そして相手方が会社の従業員であり、業務中に社用車で事故を起こしたという事実に着目しました。
これは、人身事故の場合と同様に、物損事故においても、加害者個人の不法行為責任(民法709条)に加え、勤務先である株式会社Eに対して使用者責任(民法715条)を追及できることを意味します。
弁護士は、使用者責任の要件を確認するために、以下の資料を収集・精査しました。
・交通事故証明書: 事故当事者として相手方の氏名記載されていること及び車両のナンバーを確認。
・相手方の名刺: 勤務先と所属部署を確認。
・車両修理見積書(ディーラー作成)、損傷箇所の写真: 車両損害の程度と修理費用の根拠。
・代車使用に関する資料: 代車費用の根拠。
・ご依頼者様の車両の車検証、走行距離等の情報: 事故時の車両の時価額が修理費を下回っていないかの根拠
最終的には会社に請求するため、まずは、ある程度の準備を行いました。
しかし、法律上は相手方本人に対して請求できることから、まずは相手方本人に連絡することとして、内容証明郵便を作成し、弁護士が受任したこと、修理費と代車費用を全額支払ってもらいたいことを告げる内容で送付しました。
そうしたところ、相手方本人ではなく会社の上司と名乗る方から連絡があり、会社で誠実に対応するので、以降の連絡はこちらにもらいたいとのことで、連絡がありました。
ご依頼者様に報告したところ、会社の上司の言葉に安堵はしていましたが、何の連絡もなかったことに対する怒りの言葉もありました。
そこで、弁護士は、会社に対して速やかに連絡できなかった事情を確認しました。
そうしたところ、相手方本人が当時の事故で怪我をしていて休みであったことから会社が事情をきちんと把握できていなかったことが判明しました。
ご依頼者様としては、適切に引き継ぎが行われていないことに納得していませんでしたが、弁護士介入によって会社に事故の詳細な事実を伝えるとともに請求金額については会社も法的には全額支払う義務があると伝えました。
最終的に、約2週間の交渉を経て、修理費・代車費用は満額支払うとの回答があり、ご依頼者様は納得の上で示談に至ることができました。
④ 弁護士のコメント
本件のポイント:物損事故における使用者責任と評価損
本件は、怪我のない物損事故でしたが、加害車両が社用車であったため、人身事故と同様に勤務先の使用者責任を追及できた点が重要です。
なかなか連絡が取れなかった相手方本人ではなく、会社に対しての連絡を行うこともできました。
また、これにより、相手方本人のみならず、より大きな資力のある会社を相手に交渉を進めることができ、修理費や代車費用といった基本的な損害のスムーズな支払い確保につながりました。
本件のようかもらい事故であっても、スムーズな支払いを受けられない場合、弁護士に相談したり、依頼をするというメリットは大きいと言えます。
追突などのもらい事故で愛車が損傷した場合、修理費や代車費用はもちろんのことですが、本件とは異なり、その事故によって車の価値が下がってしまった部分(評価損)についても、加害者に請求できる場合があります。
もし事故の相手が仕事中のようであれば、本件のように勤務先を確認し、その会社にも賠償を求めることができる可能性があります(使用者責任)。
物損事故に関しては、実は様々なところに悩むポイントがありますし、相手方が言っていることが法的に正しいとは限りません。
物損事故でお悩みの方は、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
ご自身の自動車保険に弁護士費用特約が付いていれば、物損事故のみの場合でも利用できることが多く、費用負担を気にせずご相談やご依頼していただくことが可能です。
弁護士費用特約さえあれば、こんなことでも聞いていいのかな?と悩む必要もなくなります。
最終的にご相談内容として弁護士に依頼するというレベルではないとしても、弁護士から適切なアドバイスを聞いてから納得して話を進めるということもご自身の不安やストレスをなくすことができると思います。
ぜひ弁護士費用特約をご活用してご相談・ご依頼をしてください。
池長・田部法律事務所では、埼玉県内で発生した様々な物損事故のご相談・ご依頼をいただいております。
上尾市の交通事故だけではなく、伊奈町や蓮田市の交通事故、蕨市や川口市の交通事故、東松山市や熊谷市の交通事故など、埼玉県全域でのご依頼をいただいております。
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