2025/04/26 刑事事件
ストーカー事案で逮捕・勾留されたものの被害者と示談が成立し不起訴となった事案
①事例
ストーカー事案で逮捕・勾留されたものの被害者と示談が成立し不起訴となった事案
②事案の概要
ご依頼者様は、既婚者である元交際相手の男性(被害者)に対し、別れ話をされたにもかかわらず、その話に納得することができず、複数回にわたり電話やメッセージを送っていました。
被害者の自宅を知っていたご依頼者様は、最寄りの駅で待ち伏せをして、被害者に声をかけて自宅までついていきました。
その後、別れ話に納得できないというご依頼者様の話を切り上げて家に入ろうとした被害者に対して、まだ話は終わっていないと住居内に進入したため、被害者から警察を呼ばれ、住居侵入罪で現行犯容疑逮捕され、その後勾留が決定されました。
③弁護士の対応
ご依頼者様は、自身の行った行為については認めておりましたが、被害者の対応には納得をしていませんでした。しかし、逮捕・勾留という事態に大きな不安を抱えており、今後の刑事手続きの見通し、会社への影響について気にしておりました。
埼玉県では女性の被疑者の方は県警留置施設に拘束されることが多く、特に蕨警察署内にある埼玉県警第二留置施設に拘束されることが多いです。
本件のご依頼者様もここに拘束がされており、捜査されている警察とは別の場所で拘束されていました。
接見を行った結果、これまでの経緯はあるものの、本件においては実質的にストーカー行為になってしまっていることから、被害者にはこれ以上近づかないなどとする示談をする必要があるということでご提案をしました。
ご依頼者様は、やはりこれまでの経緯や被害者への好意、ご自身のご認識からなかなか相手方が自分に対する好意を持っていないということに納得しておらず、示談をするという話にはなりませんでしたが、ひとまず被害者に迷惑をかけたという形では謝罪をしたいとのことでしたので、それを前提にまずは示談交渉を開始しました。
実際に被害者の方と話してみるとご依頼者様の認識とは全く異なり、かなり強いつきまといの状況があったとの話がありました。
一方で被害者の方もご自身が既婚者であること、ご依頼者様と関係を持ったことは認めており、この点については謝罪をしたいものの、これ以上関係を続けることはできないし、これ以上近づかないでもらいたいと述べられました。
一度は速やかに示談が成立するかと思われましたが、被害者としてもきちんとしておきたいため弁護士に相談したいとのことで、その後実際に被害者代理人が選任されました。
ご依頼者様に対しては、被害者の方から聴取した本件においての被害者の心情や内心の点を伝え、ご依頼者様に対するこれまでの言葉と実際に内心思っていたことは異なることなど、これまでどう対応していいのかもわからなかったなどの被害者の気持ちをお伝えしました。
そのうえで、被害者にはご依頼者様への気持ちがもう全くないことを伝えることになりました。
ご依頼者様は、相手方の好意の言葉を素直に信じて関係性が続くと思っていましたから、ひどくショックを受けるとともに涙を流して取り乱す様子もありましたが、弁護士と話をすることで最終的には関係性の終了などについても納得して接触禁止を含む示談に同意をしました。
改めてご依頼者様が迷惑をかけたことについて代理人を通じて深い反省の気持ちを丁寧に伝えるとともに、二度と連絡・接近しないこと(接触禁止)、示談金をお支払いすることになり、被害者代理人との間で示談書を作成することになりました。
示談金については事前にご家族に協力をお願いしていたため、速やかに準備することができました。
被害者代理人と速やかに示談を行い、検察官へ釈放してもらえるように交渉を行った結果、示談をした当日に釈放をしてもらうことができました。
それと同時に本件については不起訴処分とすることが相当であると強く働きかけた結果、検察官は、ご依頼者様を不起訴処分としました。
これにより、ご依頼者様は刑事裁判を受けることなく、勾留期間満了を待たずに釈放され、前科が付くことを回避できました。早期に社会復帰を果たし、会社にも解雇されることなく復職することもできました。
④弁護士からのコメント
本件では住居侵入罪での逮捕・勾留でしたが、ストーカー事案では、逮捕・勾留されるケースが多く、その後の刑事処分に大きな影響を与えるのが被害者の方との示談の成否です。特に、被害者の方に「処罰を望まない」という宥恕の意思を示していただけるかどうかが、不起訴処分獲得の鍵となります。
本件に限りませんが、ストーカー事案では、逮捕直後から弁護士が介入し、ご依頼者様の話と被害者の方の話の食い違いについて早期に理解して、ご依頼者様が被害者の方の意向を理解するとともに示談をする、ということが非常に重要です。
弁護士が被害者の方とコミュニケーションを十分に取り、ご依頼者様が今後接触しないということを真摯に伝えることで、早期に宥恕付きの示談を成立させることができます。
そして、その結果を検察官に説得的に示すことで、不起訴処分という最良の結果を得ることができました。
ストーカー事件を起こしてしまった場合、早期に弁護士に相談し、適切な弁護活動を開始することが、身柄解放、示談交渉、そして不起訴処分獲得の可能性を高めるために極めて重要です。当事務所では、刑事事件、特に示談交渉に豊富な経験を持つ弁護士が、迅速かつ丁寧に対応いたします。
当事務所では、上尾警察署以外にも、大宮や浦和周辺、蕨や川口付近の警察やその他の地域の警察の刑事事件について速やかにご対応させていただいております。
弁護士ドットコムの犯罪・刑事事件注力ページはこちら(外部サイト)
池長宏真弁護士のココナラ法律相談紹介ページはこちら(外部リンク)
田部恭兵弁護士のココナラ法律相談紹介ページはこちら(外部リンク)