刑事事件

2022/08/29 刑事事件

ストーカー規制法違反で逮捕・勾留、被害者と示談したことにより不起訴となった事例

①事例

ストーカー規制法違反で逮捕・勾留、被害者と示談したことにより不起訴となった事例

 

②事案の概要

ご依頼者様はある学校の先生でした。

ご依頼者様は生徒さんと仲良くなり、指導をするようになりましたが、ある時からその生徒さんを好きになってしまいました。

しかし、生徒さんからすれば全く感情はなく、セクシーだね、というような言葉をかけられていて気持ち悪いと感じていました。

家に勉強の資料を届けると言われて、流石におかしい、過激になってきたと感じ、これ以上はご依頼者様に直接会いたくないこと、家にも来ないでほしいことを伝えました。

しかし、ご依頼者様は資料を生徒さんの家に直接行って届けてしまいました。

そのため、生徒さんは怖くなってきたことから警察に相談してストーカーとして対処してもらうことになりました。

 

③弁護士の対応

まず確認したことはお互いがどのようなやりとりをしていたか、ということです。

ご依頼者様は当初「普通のやりとり」と述べられていましたが、言葉の節々から、セクシー、ヘルシー、かわいいなど、指導する教員からの指導内容とは思えないようないわゆる「おじさん構文」のような記載内容が多々ありました。

当初はご本人が本当に普通のやり取りと考えていたのか、嘘をついているのかわかりませんでしたが、さすがにそれを普通のやりとりとは言わないだろうということになりました。

いずれにせよ、当該やり取りの内容からすれば公判となったときに裁判所は恋愛感情を認定し、有罪になってしまう可能性が高いことを伝えました。

ご本人が「ストーカーと認めたくなかった」と後でわかったのですが、そのときは全く分からず、何度も接見に行き、毎回深夜まで話し合うほどでした。

もう示談ができずこのまま否認事件として進行するか悩んでいたとき、ふとご依頼者様が恋愛感情があったと吐露しました。

プライドがあって、自分がストーカーだと認めたくなかった、ということでした。

そこで、これらの話を前提に示談に進むこととなりました。

一方、生徒さんと示談を試みてみたものの、生徒さんの親御さんが激怒しており、示談交渉は難航してしまいました。

何度か生徒さんとお話を重ねましたが、示談を直ちに受け入れる状況にはなさそうでした。

勾留期限がギリギリになってしまい、もう起訴されてしまうか否かという頃の最後の最後に生徒さん自身が示談したいと申し出てくれ、示談をすることができました。

示談ができたことを検察官に伝えると今回は不起訴処分にすると回答があり、実際に不起訴処分とともにご依頼者様は釈放されました。

 

④弁護士からのコメント

ストーカー規制法違反の事件は加害者側、被害者側いずれも難しいと感じます。

加害者側はそもそも自分がストーカーであるという認識をしていない場合があり、会えばわかる、話せばわかる、と言うことがとても多いです。

しかし、弁護士を通じて被害者の方に連絡を入れてみると、加害者ご本人と被害者の方は真逆のことを言っていることも多く、事案の把握に非常に手間取ったりします。

被害者の方との連絡後に被害者の方とのやりとりを加害者の方に話すと非常にショックを受けることもあります。

しかしそれを受け入れたことを契機に加害者側の認識が変化し、被害者側とある程度コミュニケーションが取れるようになった結果、示談がスムーズになることもあります。

今回の被害者の方は何度もやり取りをさせてもらったため、徐々に弁護人と打ち解けた結果、最後の最後で示談をしてもいいとなってくれたのだと思っています。

一方、被害者側としては示談したとしても本当に諦めてくれるのかという不安がつきまとい、なかなか示談に踏み切れないということがあると思います。

加害者側には弁護士がついていることがほとんどですが、被害者側には弁護士がついていないこともあります。

被害者側としてはこのような不安をお話しする人がなかなか誰もおらず、加害者側の弁護士が言っていることが本当なのかよくわからないなど、とにかく不安に思うことがいっぱいあります。

そのため、特にストーカー規制法違反事件の被害者側での弁護士の重要性を感じています。

今回は加害者側として対応をしましたが、当事務所では被害者側でも対応を行っております。

加害者側の弁護を行うからこそ、加害者の弁護士が言っていることの正しいか否かということを適切に理解することができていると自負しています。

ストーカー規制法違反事件についてお悩みがある場合には当事務所までご連絡ください。

 

当事務所の刑事事件ページはこちら

当事務所のその他の刑事事件解決事例はこちら

 

弁護士ドットコムの犯罪・刑事事件注力ページはこちら(外部サイト)

 

 

© 池長・田部法律事務所