2022/08/19 刑事事件
弁護士の活動により準抗告が認容され、その後被害者と示談が成立し、不起訴となった事例
①事例
近隣の住民とけんかになり、暴行を働いてしまい、逮捕されたところ、弁護士の活動により、勾留請求が却下された結果、釈放され、その後被害者と示談が成立し、不起訴となった事例
②ご依頼の経緯
近隣の住民とご近所トラブルがあり、ご依頼者様はカッとなって暴行を働いてしまいました。
その後、近隣の別の方からの通報によって、ご依頼者様は逮捕され、勾留がされてしまいました。
ご依頼者様のご家族から連絡があり、接見を行い、依頼の意思を確認してご契約を行い、弁護活動を開始しました。
③弁護士の対応
ご依頼者様は比較的高齢の方で持病をお持ちでしたので、勾留が長期化してしまったら身体的にダメージが大きいと感じました。
近隣トラブルであったため、検察官が勾留請求をする事案であることは理解できましたが、裁判所がご依頼者様の身体的ダメージを十分に考慮した勾留決定を行ったかという点に疑問を抱きました。
そのため、裁判所に対し、勾留に対する準抗告を行おうと考えました。
ご依頼者様のご家族に身元引受書と作成してもらい、ご本人にも病状の説明を細かく説明してもらいました。
ご依頼者様が勾留が長期化した場合のダメージを具体的に記載することで、裁判所に対して、ご依頼者様が勾留されたままでは、健康状態を維持することが厳しいことをわかってもらいたいと感じたからです。
さらに念のため、接触可能性を極力断つべく、自宅に帰るのではなく、親戚の家に泊めてもらうか、ビジネスホテルでの宿泊ということも検討してもらい、万が一の場合にはそちらに移ってもらうように手配をしました。
裁判所との面談を求めていましたが、裁判所からは、電話面談での対応をするとの連絡がありました。
裁判所からは、意見書に記載した内容を十分に考慮する旨の意見を得ることができましたが、併せて引き続き示談を行うのかを問われました。
当然もちろん示談を行う予定ですとの回答を行いました。
その結果、裁判所から準抗告認容、勾留請求却下との連絡があったため、すぐにご家族にその旨の連絡をしました。
検察官も当該準抗告認容に対して不服申し立てをしませんでしたので、ご依頼者様は釈放されることになりました。
被害者側も弁護士に依頼していたため、すぐに相手方の弁護士に連絡し、示談を行いました。
示談の結果を考慮し、検察官は不起訴処分にしますと述べてくれ、実際に不起訴処分になりました。
ご依頼者様もご家族もご依頼者様がすぐに釈放されたことに加え、不起訴処分であったことに非常に喜び、感謝していました。
④弁護士からのコメント
本件では特に勾留された後少し時間が経ってからのご依頼でした。
裁判官が一度勾留決定を行ってしまうと、裁判所はなかなか準抗告を認めてくれないことが多いと感じています。
しかし、この事案で勾留請求されたことには問題があること、さらにこの勾留に対する準抗告が認められなければご依頼者様の生命・身体に重大なダメージが起きてしまうとの問題意識があったため、絶対に裁判所に準抗告を認めてもらいたいという気持ちがありました。
自分でも準抗告認容がされる事案であると信じていましたが、実際に準抗告が認容された連絡がきた際にはホッとして、身体に入っていた力がスッと抜けたのを覚えています。
なお、逮捕段階からご依頼をいただいていた場合には、検察官から勾留請求をされる前に意見書を送付するなどして、勾留請求却下という結果を得られた可能性もある事案であったと考えております。
そのため、早期のタイミングで弁護人がいることの必要性をとても強く感じました。
ご依頼者様には非常に喜ばれたため、とても嬉しく思う反面、弁護人がいないと起きてしまう理不尽さに少し戸惑いを覚えた事案でした。
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