2025/04/25 刑事事件
被害者多数の学校内盗撮において、被害者の半数以上と示談し、執行猶予付き判決を得た事案
①事例
被害者多数の職場内盗撮において、被害者の半数以上と示談し、執行猶予付き判決を得た事案
②盗撮で逮捕、被害者多数
依頼者様が、職場内でスマートフォンを使い、多数(合計20名)の女性の裸体等を盗撮したとして、性的姿態撮影等処罰法違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁止法)、建造物侵入罪で逮捕されました。依頼者様に前科はありませんでしたが、一部報道機関で報道もなされてしまった事案でした。
逮捕の知らせを受けたご家族が、今後の刑事手続きや処遇への不安から、当事務所の弁護士にご相談されました。
依頼者様ご本人は深く反省しており、被害者全員への謝罪と被害弁償(示談)を強く希望されていましたが、盗撮したとされる期間が一定程度長く、被害者の数の見通しがわからない状況で、対応方法が分からない状況というところでした。
③弁護士の活動
ご依頼を受け、弁護士は直ちに依頼者様と接見し、事件の詳細を確認しました。
依頼者様は一貫して容疑を認め、反省の態度を示していました。
一方で、被害者が膨大になってしまうと、被害者に対して示談することもできなくなってしまう恐れがありました。
また、自分の記憶違いに基づいて間違った内容を話すことで捜査機関の追及が極めて厳しくなるということも想定されました。
そこで、弁護士としてはまず、早期の身柄解放を目指しましたが、被害者の多さから勾留は避けられませんでした。
捜査に対しては、捜査の追及の厳しさという点についてご依頼者様が困惑を示されたことから、黙秘の方針によって進行をすることとしました。
次に、刑事事件の解決において極めて重要となる、被害者の方々との示談交渉に着手しました。
検察官を通じて示談意思のある被害者の方々の連絡先を確認し、弁護士が代理人として、依頼者様の謝罪の気持ちと共に示談のお願いを伝えました。
被害者が20名と多数であったため、示談交渉は困難を極め、一部被害者の方には示談を断られてしまいました。
また、被害者の人数も多く、また学校内の盗撮ということで親御様との交渉を行いましたが、示談金の原資も多くはなかったため、被害者の方たちには多くない金額によって示談をお願いせざるを得ませんでした。そのため、被害者の親御様たちのお怒りもすさまじく、交渉は極めて難航しました。
しかし、弁護士は諦めずに一人ひとりと向き合い、依頼者様の反省の深さを丁寧に伝え続けました。その結果、過半数の被害者の方々と示談を成立させ、示談金の支払いを完了することができました。
示談に至らなかった被害者の方々に対しても、可能な限りの謝罪と被害弁償の申し出を行い、依頼者様の反省を行動で示す活動をサポートしました。
撮影していた動画の解析等の問題もあり、追起訴もなされました。
そのため、裁判は複数日程において審理されることになりましたが、一定程度の被害者の方々と示談ができていたこともあり、保釈を裁判所に認めてもらうことができました。
また、保釈金に関しても被害者らに少しでも示談を受け入れてもらえるようにできるだけ原資を毀損しないレベルの保釈金にしてもらいたいと訴えたところ、これも認められました。
本件では被害者の方々との示談を行うことができた一方、被害者多数の事案であり、示談をしていたとしても起訴は免れることはできないような状況であり、なおかつ、示談ができていなければ実刑も想定しなければならない可能性がありました。
公判廷では、以下の点を強く主張しました。
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多数の被害者と示談が成立していること
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依頼者様が深く反省し、更生への意欲が高いこと
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ご家族による監督体制が整っていること
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前科がないこと
これらの情状酌量を求め、執行猶予付き判決が相当であると訴えました。
弁護士による粘り強い示談交渉と、公判での適切な弁護活動の結果、裁判所は依頼者様の深い反省と示談成立の事実を重視し、懲役刑の実刑ではなく、執行猶予付きの判決を言い渡しました。これにより、依頼者様は社会生活を継続しながら更生する機会を得ることができました。
④弁護士からのコメント
盗撮などの刑事事件では、逮捕直後からの弁護士による迅速な対応が、その後の結果を大きく左右します。
特に被害者が多数にわたる盗撮事件では、示談交渉が複雑かつ長期化する傾向があります。
被害者の方々の心情に配慮しながら、誠意をもって交渉を進めるためには、経験豊富な弁護士のサポートが不可欠です。
本件のように、粘り強く示談交渉を進め、示談を受け入れてもらうことは非常に重要です。
また、示談交渉の状況を裁判官に伝えることで、執行猶予を獲得できる可能性が高まります。
盗撮事件でお困りの際は、できる限り早期に弁護士へご相談ください。
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