その他

2025/04/30 その他

親族間における嫌がらせのような事実無根かつ脅迫まがいの金銭要求が、弁護士介入により停止した事例

①事例

親族間における嫌がらせのような事実無根かつ脅迫まがいの金銭要求が、弁護士介入により停止した事例

② 事案の概要

本件は、親族間の金銭トラブルでした。

ご依頼者様(母)は、10年以上前に発生した親族間の相続問題を円満に解決するため、話し合いの上、息子(長男)に金銭を出してもらうことによって、相続した借金を消滅させました。

また、当時ご依頼者様が住む住居がなくなってしまうという事態になってしまったため、長男は「ローンを払うことは難しいけど、お母さんがローン分を払ってくれるなら自分が住宅ローンを組んであげるからそこに住みなよ。」と述べてくれました。

その際、「自分は長男だからこれくらい行うことは当たり前だよ」というような話をしていました。

これによりご依頼者様たちの相続問題は解決し、しばらく親族は平穏かつ良好な関係が続いていました。

ところが最近になり、息子が態度を豹変させ、「あの時のお金は贈与ではなく貸したものだ」「今度は私に(別の名目で)金銭を支払うべきだ」などと、過去の経緯を無視した事実無根の主張をし始めました。

相手方である息子は、明確な根拠も示さずにご依頼者様に対して執拗に金銭を要求し、ご依頼者様がこれを拒否すると、激高して嫌がらせ行為を繰り返すようになりました。

具体的には、昼夜を問わない脅迫的な電話、ご依頼者様に対して、「自分があの時お金を貸さなかったら大変なことになっていた」などと述べるとともに、「自分にお金を払わないなら、自分が貸している家を出て行ってもらいたい」などとLINEでメッセージの送信をしていました。

また、予告なくご依頼者様の家へ押しかけ、長時間にわたり、金銭を要求するといった行為が続きました。

最後には、「縁を切る」などと言われたことから、このままでは自分は住居を追われるのではないか、このままでは自分の生活はどうなってしまうのだろうと強い不安を覚えました。

ご依頼者様は、解決したはずの問題を蒸し返されたことへの困惑と、長男の執拗な嫌がらせにより精神的に深く傷つき、恐怖心や不信感から心身ともに疲弊しきっていました。

しまいには、あのときのお金を返してもらいたいと長男に言われるようになり、このような事態になったことに強い恐怖と不安を感じ、当事務所にご相談に来られました。

③ 弁護士の対応

弁護士は、まずご依頼者様からこれまでの経緯、特に過去の相続問題に関する解決時の状況、金銭贈与の経緯やこれまでのLINEの内容、具体的な嫌がらせの内容、その頻度や期間などを詳細にヒアリングしました。

収集された証拠とヒアリング内容に基づき、弁護士は長男の主張が過去の合意内容と明らかに矛盾しており、法的根拠を欠く不当な要求であること、そして一連の嫌がらせ行為がご依頼者様の平穏な生活を送る権利を著しく侵害する違法なものであると判断しました。

ご依頼者様は、弁護士を入れてご家族を相手にすることに対して抵抗感というのもありましたが、自分で対応することに限界を感じており、もはや最悪は縁を切らざるを得ないと感じていました。

ご依頼者様とお打ち合わせを重ね、文面を推敲して、息子に対し、まずは警告をすることとして、これ以上不当な要求をするようであれば「縁を切る」という内容を送付することにしました。

そして、弁護士はご依頼者様の代理人として、息子に対し、配達証明付きの内容証明郵便にて「通知書兼警告書」を送付しました。

具体的に本書面においては、

  1. 過去の金銭授受が相続問題解決のための解決金(贈与)であり、LINEでも過去の話があり、その際にも間違いなく、息子が貸し付けたという理解をしておらず、贈与をしたという認識である文面があったことを指摘し、法的には「贈与」であって、「貸金」(金銭消費貸借契約)ではないという主張及びご依頼者様に対する新たな金銭要求には全く法的根拠がないことに加え、万が一金銭消費貸借契約であったとしても時効であること
  2. 息子が行っている具体的な嫌がらせ行為を列挙し、それが受忍限度を超える違法な権利侵害であること
  3. これらの嫌がらせ行為及び事実無根の金銭要求を直ちに停止するよう強く要求すること
  4. 今後、同様の行為が繰り返された場合、またはご依頼者様に接触・連絡等を行った場合には、脅迫や恐喝を理由とした刑事告訴や慰謝料請求訴訟などの法的措置を断固として講じる用意があること を明確に伝えました。

上記の内容を送付した結果、金銭請求を取り下げる旨を記載した文面を送付してきました。

④ 弁護士のコメント

一度解決したはずの過去の問題、特に相続や金銭が絡む事柄について、後から一方的に事実を捻じ曲げた主張や不当な要求がなされるというケースは、残念ながら存在します。

また、親族間であるが故に、過去の経緯や感情的なしこりが複雑に絡み合い、問題が再燃・悪化することも少なくありません。

このような場合、過去の取り決めや経緯を示す客観的な証拠(合意書、契約書、メールのやり取り、振込記録、当時のメモなど)が極めて重要になります。

逆に何ら証拠がないという場合もあり、請求側が証拠を保全しておく必要のあるものもありますから、証拠がないというだけで諦めないでいただきたいとは思います。

本件では、特にLINEに「あげた」旨の贈与の意思が明確になっている文面があったため、家族間のやり取りを残しておくことの重要性が改めて認識される事例と言えます。

事実無根の要求や執拗な嫌がらせに対しては、感情的に反論したり、相手の土俵に乗ってしまったりするのではなく、法的な根拠に基づき、冷静かつ毅然と対応することが肝要です。

早期に弁護士にご相談いただくことで、法的な観点から事実関係を整理し、相手方の主張の不当性を明確に示すことができます。

本件では、弁護士が代理人となり、相手方の客観的証拠を示しつつ、明確な法的警告を行うことで、相手方の不当な要求とそれに伴う嫌がらせ行為を停止させることができました。

もし警告後も同様の行為が続く場合は、躊躇なく法的措置を講じることになります。

身内の問題であっても、深刻な権利侵害に対しては、法的な手段を用いてご自身の権利と平穏な生活を守ることが可能です。

当事務所では、様々な親族間のトラブルに対するご相談をお受けしております。

上尾市、桶川市、伊奈町などの周辺地域のみならず、朝霞、川口、川越熊谷などの埼玉県全域からのご相談や東京、千葉、神奈川などの南関東栃木、群馬、茨城などの北関東長野県、福島県山形県などの埼玉県外からのご相談・ご依頼を承った経験があります。全国からのお問い合わせをいただいておりますので、遠方だからとご遠慮せずに、親族間の問題でお困りの際は、ぜひ一度、池長・田部法律事務所にご相談ください。

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