コラム

2025/04/25 コラム

盗撮の巧妙な手口を知り、自分の身を守るためにできること

1.はじめに

スマートフォンや小型カメラの普及・高性能化に伴い、盗撮事件は後を絶たず、私たちの身近な脅威となっています。その手口は年々巧妙化しており、気づかないうちに被害に遭ってしまうケースも少なくありません。盗撮は、被害者の尊厳を踏みにじり、心に深い傷を残す卑劣な犯罪です。

今回は、巧妙化する盗撮の手口を具体的に解説し、私たちが日常生活で実践できる対策について考えていきます。手口を知り、日頃から対策を意識することが、自身や大切な人を守るための第一歩となります。

2.こんなに巧妙化している!盗撮の手口

かつては「怪しい人がカメラを向けてくる」というイメージがあったかもしれませんが、現在の盗撮手口はそれだけではありません。

  1. 超小型カメラ・偽装カメラの悪用: 技術の進歩により、驚くほど小さく、日用品に偽装されたカメラが出回っています。

    • ペン型、腕時計型、メガネ型: 身につけていても違和感がなく、気づかれにくい。
    • モバイルバッテリー型、USBメモリ型: 日常的に持ち歩く物に仕込まれている。
    • カバン、リュック: 内部に仕込み、レンズ部分だけを外に向ける。
    • 靴: 先端にカメラを仕込み、階段やエスカレーターでスカート内などを狙う。
    • その他: 飲料のペットボトル、ボタン、キーホルダー、火災報知器、コンセントタップ、壁掛けフック、置時計などに偽装されている場合もあります。
  2. 設置場所の多様化: 盗撮カメラは、人が無防備になりやすい場所や、死角になりやすい場所に設置される傾向があります。

    • 公共交通機関: 電車内(網棚、座席の下、ドア付近)、駅の階段・エスカレーター。
    • 商業施設: 店舗の試着室(鏡、フック、壁の隙間)、トイレ(個室内の死角、便器付近、天井)、スーパーの低い陳列棚の下。
    • 宿泊施設・温浴施設: 部屋の備品(テレビ、時計、コンセント)、脱衣所。
    • 屋外: イベント会場の人混み、路上(すれ違いざまなど)。
    • 住居: 賃貸物件に以前の入居者が設置していた、あるいは不法に侵入して設置されるケースも報告されています。
  3. スマートフォンを使った盗撮: 最も身近な機器であるスマートフォンも、依然として盗撮に悪用されています。通話や操作をするふりをして撮影したり、無音カメラアプリを使用したりする手口があります。

3.被害に遭わないための対策

巧妙化する手口に対し、私たちはどのように身を守れば良いのでしょうか。完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、意識することでリスクを減らすことは可能です。

  1. 場所に応じた注意点:

    • 階段・エスカレーター: 背後に注意を払い、不自然に距離を詰めてくる人がいないか意識する。可能であれば壁際に寄る、カバンなどで後方をガードする。
    • 電車内: 周囲の人の視線やスマートフォンの向きに注意する。網棚などに不審物がないか確認する。最近では座っている状態でカバンを膝の上に持ちながら、股の間にカメラを置き、対面に座っている女性のスカート内に向けるという手口もあるようです。
    • 試着室・トイレ: 入る前に、フック、ネジ穴、置物、換気扇、鏡などに不審な点がないか、ざっと確認する習慣をつける。不自然な光やレンズのようなものがないか意識する。
    • 宿泊施設・温浴施設: 部屋に入ったら、時計、コンセント、火災報知器など、カメラが仕込まれそうな場所に不審な点がないか確認する。
  2. 普段からの心構え:

    • 周囲への意識: スマートフォンに集中しすぎず、周囲の状況に気を配る。
    • 違和感を大切に: 「何かおかしい」「見られている気がする」と感じたら、その場を離れる、警戒する。
    • 持ち物の置き方: カバンなどを床に直接置かず、膝の上に乗せるなどして、下からのアングルを避ける。
    • 服装への配慮: 状況によっては、肌の露出を抑えたり、ガードルや見せパンを着用したりすることも自衛策の一つとなり得ます。もちろん、服装は本来自由であるべきであり、なぜ自分が配慮しなければならないのかと思う方もいらっしゃるかと思います。無論、悪いのは盗撮を行った側であり、被害に遭われた方は全く悪くありません。あくまでも被害に遭わないための防衛策の一つにはなるという程度で頭に入れておけばよいかと思います。

4.もし被害に気づいたり、目撃したりしたら

万が一、被害に遭っていると感じたり、盗撮と思われる行為を目撃したりした場合は、以下の対応を心がけてください。

  1. 安全確保: 犯人が逆上するケースもありますので、まずは自身の安全を最優先してください。その場から離れる、安全な場所に移動することも必要です。
  2. 助けを求める: 周囲の人、駅員、店員、警備員などに助けを求める。一人で対処しようとせず、協力を得ることが大切です。声を出せない、声を出すことが躊躇われるという場合には、スマートフォンの画面にメモやアプリなどで助けを求めるメッセージを表示して見せることも重要です。
  3. 警察への通報: ためらわずに110番通報してください。いつ、どこで、どのような状況だったか、犯人の特徴(身長や年齢、服装等)などをできるだけ詳しく伝えます。
  4. 証拠: 可能であれば、犯人の特徴や服装、不審な物などを覚えておく、スマートフォンのカメラで記録する(ただし、決して無理はしないでください)。
  5. 相談: 被害に遭うと、大きな精神的ショックを受けます。一人で抱え込まず、家族や友人、警察の相談窓口、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなどに相談しましょう。もちろん弁護士にご相談することも可能です。

5.弁護士費用について

盗撮被害に遭われた被害者の方について、場合によっては、実質弁護士費用の負担をすることなく依頼をするということが可能な場合があります。

当事務所では、盗撮事件のみならず、性被害・性犯罪に遭われた被害者の方々の弁護や賠償請求も行っており、多くの取り扱い事案があります。

また、盗撮事件のみならず、不同意わいせつ不同意性交等ストーカー規制法違反事件やリベンジポルノなど、その他の性犯罪の取り扱いもございます。

上尾警察署の管轄の事案のみならず、大宮警察署、浦和警察署、川口警察署、川越警察署、川越警察署熊谷警察署など埼玉県内や埼玉県外の事案も数多くのお取り扱いがございます。

万が一、被害に遭われてしまった方は無料でご相談していただくことが可能ですので、まずは一人で抱え込まず、当事務所にご相談していただければ、何か少しでもお力になれるかもしれません。

6.おわりに

盗撮は、決して許される行為ではありません。巧妙化する手口を知り、日頃から「自分は大丈夫」と思わず、少しだけ注意を払うことが、被害を未然に防ぐ力になります。

また、社会全体で「盗撮は犯罪である」という認識を強く持ち、不審な行為を見かけたら勇気を出して声を上げたり、通報したりすることも重要です。安心して過ごせる社会を目指して、私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。

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