2022/11/06 債務整理
破産と個人再生どちらを選ぶべき?借金問題解決のための方針を決めるべき際にご確認ください!
「個人再生」をご存じでしょうか?
破産という言葉は多くの方が聞いたことのある借金問題解決のための手段だと思います。
債務整理には、破産以外に、個人再生という手段もあります。
「来月の返済ができない…」とお困りの際、まずは破産を考える方も多いと思います。
しかし、住宅を持っている場合や職業によっては、破産でなく個人再生を選択したほうが最適であるというケースもあります。
そこで、本コラムでは、個人再生の説明を行い、破産と比較をしてみたいと思います。
【目次】
1 債務整理の種類
債務整理の種類には、大別して3つあります。破産、個人再生と任意整理です。
破産と個人再生は、裁判所による関与のもとに行われるのに対して、任意整理は裁判所の関与はありません。また、個人再生と任意整理は、今後も借金を返済していくのに対して、破産は借金を返さなくて済むという区別の仕方が出来ます。
2 個人再生とは
(1)個人再生の特徴
住宅ローンをこれまでのように払い続けることで住宅を残しつつ、他の借金については債務額を圧縮する点に特徴があります。
つまり、住宅ローンについては、基本的にこれまでのように払う必要があるのですが、他の借金については圧縮できます。借金の額にもよるのですが、5分の1に債務が圧縮されるケースが多いように思います。
この圧縮された債務を原則として3年間から5年間で返済することとなります。
たとえば、500万円の借金がある場合ですと、この500万円の借金が圧縮されるため、100万円を3年間から5年間で返済することとなります。
そうすると、この場合ですと、1カ月の返済額は、約2万8000円(3年間)、約1万7000円(5年間)ということとなります。
ただし、この500万円の借金が一律に100万円に圧縮されるわけではありませんし、何年間の分割になるかという点についても事前に確定するわけではありません。
(2)個人再生の種類
個人再生には、2種類あります。
1つは、小規模個人再生です。この小規模個人再生が基本的な手続きであるいえます。
この手続きは、以下の(3)の要件を満たせば自営業の方であってもアルバイトの方でも利用することが出来ます。
ただし、債権者が再生計画案に反対しないことが要件となります。
もう1つは、給与所得者等個人再生です。
名前の通り、給与所得者が利用することを想定している手続きです。
つまり、今後安定的に収入得ると見込まれる方を対象としています。
そのため、自営業の方など必ずしも安定的に収入を得るわけではない方ですと、利用できないケースがあります。
この手続きにおいては、小規模個人再生と異なり、債権者の同意の要件は不要です。
(3)要件
まず、住宅ローンを除き、債務額が5000万円以下であることが必要となります。
次に、今後、収入を得る見込みがあり、返済予定額を支払えると見込まれること必要となります。
このような要件を満たす場合に、個人再生手続きが利用できる可能性が高いです(その他にも要件があるので絶対に利用できるというわけではありません。)。
その上で、小規模個人再生と給与所得者等個人再生とではどちらを選択すべきか検討することとなります。どちらの手続きを選ぶべきかという問題はなかなかご自身では判断できないと思いますので、専門家である弁護士に相談すべきです。
3 破産・任意整理との違い
(1)任意整理との違い
・基本的には、個人再生をした方が、任意整理をした場合と比べて、返済額が抑えられる。
・個人再生の方が、任意整理と比べて、家族や知人に知られる可能性が高い。
・一般的に、個人再生の方が、任意整理と比べて、弁護士費用が高額で、かつ解決まで時間と手間がかかる。
・個人再生では官報への掲載があるが、任意整理だとこのようなことはない。
・一般的に、個人再生をした方が、任意整理をした場合と比べて、ブラックリストとへの掲載期間が長くなる。
(2)破産との違い
・住宅を残すのであれば、一般的には、個人再生の要件を満たすかまずは検討することとなる。
・個人再生は借金を圧縮して返済するのに対して、破産は返済をしなくてよい。
・個人再生には、上述2(3)の要件の必要となってくるのに対して、破産にはこのような要件は不要である。
・破産には、職業制限(資格制限)がある。破産手続中、保険募集員や警備員などの特定の資格に基づいて仕事をすることはできなくなる。
投資の失敗で1200万円ほどの借金を負ったが、破産手続において免責された事例
内縁の妻の病気を原因とする破産手続で妻は2度目の破産だが夫婦ともに同時廃止で免責となった事例
債務額2500万円の大半が投資行為によるものであったが、破産(免責)が認められた事案
4 個人再生を選択すべき場合
任意整理・破産ではなく、個人再生を選択すべき場合としては、上述の手続きの違いを考慮することとなります。
たとえば、住宅ローンを支払っている住宅を持っている方の場合です。
破産をするとなると、基本的に、住宅を手放すことになります。
これに対して、(住宅ローン条項付きの)個人再生を行うことを選択すれば、住宅を手放さなくて済むことになります。
破産でなく個人再生を選ぶケースとしては圧倒的にこの理由が多いように思います。
ほかには、職業との関係があります。
破産手続中、保険募集員や警備員の方は、仕事を行うことが出来ません。
そうすると、仕事ができない以上、収入がないという状況になります。
これを回避するために、破産ではなく、個人再生を選択するということがありえます。
住宅を持っているという理由の次にこの理由のために破産でなく再生を選択することが多いように思います。
また、借り入れ理由に問題があるために、破産でなく個人再生を選択するということもありえます。
これは、たとえば、ギャンブルによって借金を作ってしまった場合、破産法上の扱いとして、原則、免責不許可になるためです。
これに対して、個人再生であれば、借り入れ理由を問われることは原則としてありません(ただ、総債務額との関係でどの程度ギャンブルのための借入を行ったかという点も検討しないといけないため、このあたりは難しい判断を迫られます。)。
別事務所で任意整理をしたがうまくいかず、当事務所にて個人再生手続に切り替え立て直しを図った事例
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